IT業務効率化
働き方としてテレワークが定着する中、紙の業務をするために出社せざるをえない人が今でも大勢います。
多くの経営者を悩ます紙の業務による出社の原因とは?
このコラムでは紙の業務の削減に有効なソリューションについて2回に分けて解説します。
新型コロナ流行により多くの企業はテレワークの導入を進め、導入率は62.9%※1と、働き方改革としてテレワークは定着が進んでいます。
※1 東京都公式ホームページ 報道発表資料「テレワークに関する実態調査の結果」
(2023年04月03日)
一方、働き方改革としてテレワークが定着する中でも「紙」に関する業務の為に出社せざるをえない方も多くいます。
社内で利用する「紙」の書類については、コロナ禍以前からペーパーレスや業務効率化を実現するため、ワークフローシステムの導入を検討する企業は多く、ワークフロー総研の調査※図2では「新型コロナウイルス感染拡大前」から導入していた企業は44.4%、「新型コロナウイルス感染拡大後」に導入した企業は39.8%という状況でした。
また、テレワークを実施している企業の73.2%が既にワークフローシステムを導入しているという結果もありました。
※図2 ワークフロー市場調査レポート
引用元:ワークフロー総研 「テレワーク実施企業のワークフロー導入率は73.2%、 一方テレワーク未実施企業の導入率は23.2%と50ポイントの差に」
https://www.atled.jp/wfl/article/10706/(最終アクセス日:2022年9月13日)
それでも「紙」に関する業務の為に出社が減らないのはなぜでしょうか。
まずは、一言で「文書」といっても、どのような種類があるのかを考えてみましょう。 企業が業務で取り扱う文書には、大別して以下の2種類が存在します。
種別 | 内容 | 例 |
---|---|---|
法定保存文書 | 法律により一定期間保存することを義務付けられている文書 | 監査報告・会計監査報告、従業員の身元保証書、決算に必要な書類、取引に関する帳簿、株主総会議事録、会計帳簿、月次・年次決算書類など |
法定保存文書以外の文書 | 上記以外で取り扱われる文書 | 社内システムの利用申請、備品貸与時の申込書、企業固有の資料など |
それぞれの特徴と、電子化する際の難易度は以下が考えられます。
◎「法定保存文書以外の文書」
社内で使用するシステム利用申請や備品の申込書など、法的な保管期間や管理要件が無いもの。 業務の効率化、コスト削減の対象としての電子化が比較的容易であり、ワークフローシステムで電子化することでテレワークへの対応が可能です。
◎「法定保存文書」
会社法に関わるもので10年、税務上の契約書・文書などは7年、人事・総務に関わるものなら2年~5年など、法的な保管期間と保管要件が定められているもの。
これらを電子化するには関連した法律に準拠する様々な要件を満たしたシステムの選定、社内規定、業務の整備、取引先との調整などが必要となります。
そのため、ワークフローシステムを導入している企業でも「法定保存文書」に関する書類は電子化されていない事が多く、テレワークの導入が進んでいても出社が減らない大きな原因の一つになっています。
次に、「法定保存文書」を電子化するにはどうすればいいのか、準拠が必要な法律を見ていきましょう。 「法定保存文書」の電子化に関連する法律には「電子帳簿保存法」と「e-文書法」の2つがあります。
電子帳簿保存法 | e-文書法(電子文書法) | |
---|---|---|
対象 | 国税(法人税など)に関わる帳簿・書類 | 国税に関わらない文書・帳簿のうち、会社法や証券取引法などで保管義務があるもの |
所轄 | 国税庁 | 内閣府 |
概要 | 税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律。同法に基づく各種制度を利用することで、経理のデジタル化が図れます。 引用元:国税庁HP「電子帳簿保存制度特設サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm(最終アクセス日:2022年9月13日) |
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律。 民間事業者が行う文書の保存、作成、閲覧等について、原則として電磁的記録によることを可能とするもの。 引用元:e-Govポータル「平成十六年法律第百四十九号 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000149_20210901_503AC0000000036&keyword=%EF%BD%85%EF%BC%8D%E6%96%87%E6%9B%B8%E6%B3%95(最終アクセス日:2022年9月13日) |
上記からも分かるように「法定保存文書」にあたる文書の中でも、一般的な企業で取り扱う量が多い傾向にある、請求書や契約書、見積書などの社外取引書類を電子化するには「電子帳簿保存法」に準拠する必要があります。
これらの電子化が出来れば、社内のテレワーク対応の実現だけでなく、取引先もテレワークで対応出来るため手続きのスピードアップ、保管の手間や書類を探す時間の削減、紙での送付不要となることから送料のコスト削減、紛失などのリスク抑制も可能です。
請求書や契約書、見積書の電子化については「電子帳簿保存法」に準拠したシステムの利用で導入のハードルを低くする事ができます。
次回は、請求書や契約書、見積書の電子化に対応する最適なシステムや、ワークフローシステムとの連携によるさらに便利な仕組みについてご紹介します。
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※【引用・参考】 ワークフロー総研 https://www.atled.jp/wfl/(最終アクセス日:2022年9月13日)
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