【仮想化基盤運用コラム】第11回 

運用のもう一つのルール(後編)

紫藤 泰至

ルールその2:払い出す仮想マシンの提供ルール

これまで、「提供するもの」のルール化を説明しました。次は「提供すること」のルール化になります。「提供すること」とは、注文を受けて、商品を作って、提供するまでの一連の流れです。


先ほどのハンバーガーショップの例を再度登場させると、このような感じになります。



ハンバーガーショップでの注文の流れ


ハンバーガーショップでの注文の流れ

かなり、システマチックですね。機械的でそっけない感じはあるものの、お客さんは商品を素早く受け取れます。提供する側も同じ時間でより多くの商品を販売できるので、売り上げ向上につながります。


それでは、仮想化基盤運用の「提供すること」をルール化する場合の、具体的な例をご紹介します。


何を決めておけばいいのか


何を決めておけばいいのか

このようなルールをあらかじめ決めておくと、依頼主も楽になりますし、計画が立てやすくなります。


ルールを作るときのポイントは、依頼主の視点で考えることです。依頼主が気持ちよく使ってもらうルールでないと、ルール自体の運用が長続きしませんし、逆に混乱を招く恐れがあります。


また、ルール化をするだけでは不十分です。このルールの存在を周知することが大切です。せっかく作ったルールが周知されていないと、仮想マシンを欲しいと思っている依頼主がどのような手続きをすればわからなくなり困ってしまいます。いろいろな人に聞きまわって、やっと分かった、なんて場合も多々あります。そうすると、色々な人に迷惑をかけることになりますし、そもそも仮想化基盤の特色であるスピード感が損なわれてしまいます。


一般的には、提供ルールは文書にします。そして、社内のイントラネットなど目につきやすいところに掲示して常に参照できるようにします。ただし、掲示しただけだと認知度は上がりません。ルールを浸透させるために周知活動が必要になります。特にルールを作成したての頃は、認知度が低いので、積極的に周知活動をすることが求められます。


これまで、ルールの視点で仮想化基盤運用を説明してきました。


重要なことは、仮想化基盤の技術的な成り立ち「アーキテクチャ」を知ることに加え、それを利用する「人」の存在を理解することです。「運用」とは「うまく動かすこと」であり、そのためには「アーキテクチャ」と「人」二つの側面を考慮することが必要なのです。ここが仮想化基盤運用の難しさであり、運用技術者としての醍醐味ではないかと思っています。


次回で、仮想化基盤運用のコラムは最終回です。


これまでの振り返りと、今後の仮想化基盤運用について、ご説明します。

<著者>
紫藤 泰至

<経歴>
メインフレームからのシステム運用の経験を活かし、お客様のシステム運用をデザインする業務を歴任。現在は、仮想化基盤(プライベートクラウド)運用、運用自動化をデザインするコンサルティングに従事。ITIL Expert保有。

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