【無線LANコラム】第7回 無線LAN導入のコツ(後編)

中島 暁子

1. 業務用無線LAN製品とは何?
2. SSIDを隠したほうが良い場合
3. 電波環境を把握するために
4. まとめ

前回 は、用途の違いにより、適切な無線LAN製品を選ぶ必要があることを解説しました。今回は業務用無線LAN製品について考えてみましょう。

1. 業務用無線LAN製品とは何?

一言で業務用といっても、まずは価格の違いがあることが分かります。様々な価格帯の製品があり何を基準に選定すれば良いか迷ってしまいますが、価格が違うことには理由があるのです。製品そのものの材質も異なりますし、搭載されている機能も異なります。

例えば、屋外や工場など、埃や水滴が付く可能性のある場所に設置する場合は耐環境性の高い材質を使うので価格も高くなります。逆に安価な製品は軽くて一見取扱いやすいですが、ちょっとした衝撃で壊れてしまうこともあります。

機能面はどうでしょうか。干渉波の多い環境でたくさんのPCやスマートフォンが使えるように、各社は様々な機能を搭載しています。無線LANの利用用途や環境が様々なら、各社の製品が得意とする利用環境も様々です。たくさんの端末がある環境が得意な製品、とにかく遠くまで電波が届くことを優先した製品、セキュリティを重視した製品など、いろいろな無線LAN製品があります。これらを、用途に合わせて製品の特性を考慮したうえで自分で比較して最適な無線LAN製品を選び出すことは、とても労力が必要になります。

2. アクセスポイント配置の落とし穴

もし最適な無線LANを選ぶことが出来ても、使いたい場所に無線LANアクセスポイントをたくさん置けば良いかというとそうではありません。アクセスポイントを多数置いてしまうと、同じ周波数の電波を発生させる機器がたくさん存在してしまうことになります。

無線

これがどういうことなのか、有線LANに例えてみましょう。

1つのローゼット(LAN線の差込口)に、複数のLAN線を無理やり繋いで通信しようとするイメージです。もちろん、実際にはそんなことはできませんし、LAN線が繋がらなければ通信は出来ませんよね。

同じ周波数=同じLAN線なので、お互いに干渉し合うことで通信が妨害されるのです。なので異なる周波数帯を使うか、干渉しない配置にすることが望ましいのです。

さらに、無線であるがゆえに「どの周波数でつなぐの?」という無線LAN機器側での処理が働くので、電波が混在していると端末はいろんな”繋ぎ口”を拾ってしっちゃかめっちゃか。(経験ある方もいるのでは?)目には見えませんが、有線LANでいう「スパゲッティ状態」になっているかもしれません。

このように、ただでさえ干渉波が多い環境で、闇雲に無線LANアクセスポイントを置くと「自己干渉」と呼ばれる自分のネットワーク内の機器同士での干渉が発生します。多すぎず少なすぎず、最適な台数を適切に配置する必要があるのです。

3. 電波環境を把握するために

前編で業務用無線LANアクセスポイントには「電波環境がある程度変化しても通信を継続できる機能がある」とご紹介しましたが、この機能だけでシビアな環境に適応することには限界があります。やはり快適な通信が可能な電波環境が確保されていることが必要となります。

ここまで、無線LAN製品の特性と、選定に関するポイントを記載しましたが、無線LANを導入し快適に使うためには、利用場所の電波環境についても把握が必要ということもお話ししてきました。しかし、当たり前ですが電波というものは目に見えませんので、実際どのように電波が飛んでいるか?干渉波がどの程度あるか?など、電波環境の本当の姿はきちんと調べないと分からないものなのです。

4. まとめ

無線LAN導入のコツをまとめると、単純明快ですが大きく3つのポイントがあります。

 ① 利用場所の電波環境を正確に把握すること
 ② 利用用途に合った、適切な無線LAN製品を選ぶこと
 ③ 選んだ製品を、適切な台数用意し、本来の性能を発揮する状態で使用すること

簡単そうに見えますが、上記3点を自力で実現することは時間も労力もかかり、さらに知識習得の必要もあり大変困難なため、多くの企業では導入経験が豊富な専門業者へ依頼しているのが現状です。

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