ITセキュリティ

【メールセキュリティコラム】第2回

脱PPAPツールの比較と有効なソリューション
「eTransporter」のご紹介

髙波 明

第1回目のコラムでは、PPAPの問題点と対策方法を解説しました。今回は、脱PPAPの対策として最も有効な方法であるファイル転送サービス+添付ファイル分離を利用した脱PPAPソリューションの「eTransporter」をご紹介します。脱PPAPの課題として挙げた、業務の効率性・運用性やセキュリティに対して、「eTransporter」ではどのように解決できるのかも含めて具体的に解説していきます。

1.脱PPAPソリューション「eTransporter」とは
2.ファイル転送システムとオンラインストレージ、どちらが有効?
3.業務効率化とセキュリティの両立
4.まとめ



1.脱PPAPソリューション「eTransporter」とは

前回コラムでもお話しました通り、PPAPとはメール添付時における「パスワード付きZipファイル」を指しています。このPPAPへのセキュリティ懸念に対して、当時のデジタル改革担当大臣の2020年11月24日の記者会見で発表された内閣府の脱PPAP方針をきっかけに、現在では公共、民間企業ともに「脱PPAP」対応が求められています。

今回ご紹介する脱PPAPソリューションの「eTransporter」は、ファイル転送システムです。ファイル転送システムは、Webブラウザでメールに添付できない大容量ファイルや機密性の高いデータを企業間で「簡単・安全」に送受信できるシステムです。

このファイル転送システム(SaaS型も含む)を脱PPAPへの対策として、利用している企業も多く、安価で有効なシステムではあるものの、アップロードしたファイルのダウンロード用URLを追加した通知メールの作成をWebブラウザ上で行う必要や、普段使っているメールソフトとアドレス帳が共有出来ないなど、少々煩雑さを感じます。このことから、ファイル転送システムだけでは脱PPAPへの対策としてはユーザーへの定着が難しく、煩雑さから誤送信にも繋がる恐れがあります。

この課題を解決するのが「eTransporter」メール連係オプションの「添付ファイル自動分離」機能になります。

ここで、詳しい機能のご紹介前に、脱PPAP対応ソリューションとして比較検討されることの多いオンラインストレージとの違いについて掘り下げてみましょう。

2.ファイル転送システムとオンラインストレージ、どちらが有効?

脱PPAPへの対策として、オンラインストレージを採用している企業も数多くあります。ファイルサーバと同じような感覚でデータのやり取りができることから、ファイルに間違いなどが見つかった場合にもすぐに削除することで、差替えや誤送信などにも対応できるというのが主な採用理由として挙がります。しかし、脱PPAPソリューションとしては、なかなか定着しない企業が多いのも現状です。大きな理由としては、不特定多数へのデータ共有に対してはメンテナンス性に欠けることが挙げられます。

つまり、オンラインストレージのデータ共有領域はセキュリティ観点から共有先ごとに作成する必要があり、利用有効期限やアクセス権限などにも気を配り運用する必要があるためです。

もちろん、オンラインストレージ自体は用途により有効性を発揮します。例えば、プロジェクト単位での他社とのデータ共有や企業内のファイルサーバなどに比べて、大容量で安価に利用できるのは大きなメリットです。

このように、第1章で解説しましたファイル転送システムと、オンラインストレージは機能が明確に異なるため、脱PPAPソリューションとして比較するのではなく、目的や用途に合わせて使い分ける必要があります。 どちらも脱PPAPに有効な面もありますが、単体で脱PPAPを実現するには以下の課題が頻繁に聞かれます。 

・ファイル転送システムで脱PPAP対応しているが、毎回データアップロードする負担が大きい

・大容量ファイルの共有には便利だが、小さなファイルの共有はわずらわしくて、PPAP(Zip暗号化ファイル送信)と混在した運用になってしまう

・共有相手が決まっている場合はオンラインストレージが便利だが、顧客単位での領域設定や権限設定に手間と時間がかかる

・メールソフトのアドレス帳がファイル転送システムに連携できていないため、誤送信リスクに繋がる



3.業務効率化とセキュリティの両立

課題をまとめると、業務効率(利便性)やセキュリティリスクに関しての課題に分類できることが分かりました。
この課題を解決するのが「eTransporter」メール連係オプションの「添付ファイル自動分離」機能の活用です。

「添付ファイル自動分離」は、メールに添付されたファイルが自動で分離され「eTransporter」サーバへアップロードされます。送信メール本文へファイルダウンロード用URLが自動的に挿入されるため、ユーザーへの負荷も軽く、定着までスピーディなのが特徴の1つです。受信者は届いたメールのURLをクリックし、Webブラウザ上からファイルをダウンロードするだけです。この方法であれば、普段から使い慣れたメールソフトを変更することなく、添付ファイルのサイズやアドレス帳の連携も気にせずに送信が可能となります。



eTransporter動作イメージ

eTransporterメール連携オプション 動作イメージ

このように、脱PPAPに有効なソリューションである「eTransporter」による課題解決ポイントは以下が挙げられます。



業務効率化

・ファイルの種類や容量を気にせず、従来通りのメール送信手順でファイル連携が可能
・添付ファイルを自動分離して送信、ダウンロード用パスワード通知も自動化可能
・ダウンロード通知メールにより、ファイルの到達確認が可能



セキュリティ対策の強化

・送信したファイルでも相手先がダウンロードする前であれば、取消しが可能 (誤送信防止対策)
・ウイルスチェック機能(オプション)を利用すれば、送信ファイルをリアルタイムでチェック
・「誰が」「いつ」「どんなファイルを」「誰に」送信し、 「いつダウンロードされたのか」、等の証跡確認が可能


脱PPAP対応として「eTransporter」の「添付ファイル自動分離」機能を利用することにより、オンラインストレージ単体では不向きであった不特定多数に対してのデータ共有も、今までのメール操作手順そのままに脱PPAPが実現可能となります。このことから、ソリューションの特性を見極めたうえで目的に沿った形で導入選定することがやはり重要となります。

4.まとめ

最後にまとめとなりますが、「eTransporter」で脱PPAPを実現することで、ユーザーの運用をそのままにメールでのデータ連携が可能となり、これからブロックされることが予想される「パスワード付きZip」に対して有効な解決手段となります。また、誤送信時のアップロード取消しなどについても、既存のメール運用では対応が難しいものとなっているので、「eTransporter」を導入することは、企業に対しても大きなメリットがあるのではないかと考えております。

今回、ご紹介しました「eTransporter」についてご興味がある方は、お問合せフォームからお気軽にご連絡ください。また、動作を確認したいユーザー様向けに、個別のデモンストレーションや操作体験なども行なっておりますので、是非ご連絡お待ちしております。

PPAP対策の他にも、メールセキュリティに関して切っても切り離せない課題となっている、メール誤送信防止対策リスクへの課題解決に役立つ「CipherCraft/Mail」についても取り扱っております。評価版などございますのでご興味ありましたらお気軽にお問合せください。



<著者>
髙波 明

<経歴>
クライアントサポートからインフラ構築エンジニアを経験、ここ数年はエンドポイントセキュリティを中心にサービス企画からプロモーション活動などを担当。料理が得意で、前職は料理人という一味変わった経歴の持ち主。

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