【無線LANコラム】第3回 サイトサーベイのススメ

高橋 孝文

1. アクセスポイントはどれくらい必要?

みなさんこんにちは。
今回は、無線LAN構築に長らく関わってきた弊社が、普段お客様向けに提供しているサービスについてこんな感じでご提供していますよ、という話をしていきたいと思います。

企業向けの無線LAN導入についてご相談を頂く際、アクセスポイントに関するご質問で非常に多いのが「どこに、何台付けたら良いのか?」という内容のものです。

弊社の経験則で机上検討させて頂く事から始めます。ですが、まずこの段階での最適解はありません。
なぜならば、以下のような検討材料が必要だからです。

・無線LANを利用するPCやスマートデバイスは、何台位となる想定か
・1台故障した際にカバーできなくなるエリアが出来ても良いか

最低限、上記2点については方針を決めて頂くか、ご相談頂いた際にヒアリングを行い、方針決定後に設置位置や台数を決定していく流れが良いかと思います。

2. 机上検討はあくまで参考値

ヒアリングと方針結果が大事...とはいえ、パーティションが多く、比較的込み入ったレイアウトの場合などは机上検討にも限界があります。想定通りに電波が届かないという事もあるためです。

検討にお時間を頂ける場合は、弊社サービス 「無線LANサイトサーベイ」のご利用を推奨しています。
内容を簡単に申し上げますと、実際に電波を飛ばしてみて、最適なアクセスポイントの数と設置位置を検討するという作業です。とはいえ、どんな事するの?というご質問も非常に多いため、実施イメージの動画をご紹介します。



実際にアクセスポイントを仮設置してみて、どこまで電波が届くのかを調査します。
やはり、実測に勝るものは無いという所が現状です。無線LAN導入の前に是非ともご検討下さい。

3. どんな風に調査するの?

では、この作業を行うにあたり、どこに何台のアクセスポイントを仮設置するのか?というご質問も頂きます。
回答は「机上検討してこの辺りが良いと判断した場所」です。

結局は目分量か?というご意見もあるかと思いますが、この時に机上検討するアクセスポイントの設置場所は、あえて若干多めにしておきます。ここに長年の経験からの勘が活きてきます。

例えば、5台程度かな?と判断した場合は9台分設置します。
なぜならば、このような測定方法があるからです。以下は9台分を仮設置する場合の一例です。

① A地点に3台のアクセスポイントを仮設置
② 電波を測定
③ 3台のアクセスポイントを別の設置候補場所(B地点)に移動
④ 電波を測定
⑤ 再び、3台のアクセスポイントを別の設置候補場所(C地点)に移動
⑥ 電波を測定


無線

※電波の飛び具合は色で表されており、暖色ほど強い=集中的に届いているということになります。強弱どちらかに偏らず、電波が安定している指標の中間色になるような配置を目指します。


無線

これで、3台の実物を利用して、9か所にアクセスポイントを置いた事になります。
9か所の測定結果を合成することができますので、9台だと下図のようになります。
同時に電波を送出しているアクセスポイントは3台ですが、後から測定結果を合成できる、という所が強みです。

4. 様々な観点で分析できます

5台にした場合の電波状況はどうでしょうか?シミュレーションしていきましょう。


無線

フロア全体にしっかり電波が届いていますね。3台でもカバーできるかな?


無線

3台でも大丈夫ですね。2台は?


無線

電波が届いていない箇所は、灰色で表現されています。フロア内に利用できないエリアが出てきました。なるほど、最低3台あればカバーするだけなら良さそうだということが分かりました。

と、こんな感じで実測ベースでの分析を行うことで、以下のような松・竹・梅の案をご提示することができます。
・全域に電波は届いている、かつ1台故障しても全域カバーできる配置案
・とりあえず、全域に電波が届けば問題ない場合の配置案
・最悪、このエリアは電波が届かなくても問題ない場合の配置案

複数案あれば、予算感や実際に利用される方の希望も組んだ構成を検討するには
十分かと思いますし、こんなパターンも見たいというご希望にもお応えできます。
ご興味があれば是非ともお声掛け頂けますと幸いです。

CTCシステムマネジメントコラム

ctcシステムマネジメントコラムでは、ITシステム運用の最新動向に関する特集・コラムがご覧いただけます。

ページトップへ