岐阜県様[地方自治体]

岐阜県様

ローコード開発ツールと内製化による高速リリースが
DX推進の武器に

岐阜県様

概要

いまや最重要課題ともいえるDX推進をめぐり、民間企業だけでなく自治体においてもさまざまなツール導入などを行い、独自の業務効率化を模索しています。岐阜県では現場に即したアプリケーション開発をスピーディに進め、高速リリースを実現するローコード開発ツール「プリザンター」に着目しました。CTCシステムマネジメント(以下、CTCS)の伴走型サポートを活用し、新型コロナ管理台帳システムを約1ヵ月で完成させるなど成果を上げています。


事例のポイント

お客様の課題


・刻々と変わる業務要件に対するシステム化の追従
・大量の紙とExcelから既存システムへの再入力に要する手間
・転記ミス防止などの管理データへの信頼性向上とリアルタイムな情報共有

導入後の効果


・要件定義から開発・データ移行まで約1ヵ月の短期構築、その後も高速リリースを継続
・11万件を超えるデータを一元管理することで500人超の関係職員にスムーズな情報連携を実現
・管理・照会業務の効率化に向け、汎用的なデータ連携基盤として活用

岐阜県 清流の国推進部 デジタル推進局 デジタル戦略推進課 デジタル推進係 主任 田島 雅廣 様

導入前の課題

紙とExcelでの情報管理に限界を感じていた

岐阜県
清流の国推進部 デジタル推進局 デジタル戦略推進課 デジタル推進係
主任 田島 雅廣 様

岐阜県では、2020年11月から約1年間かけ、有識者に加え県民や各分野の関係者の方々から広くご意見をうかがって「デジタル化」を切り口に政策・施策の棚卸しを行い、DX推進に取り組んでいます。行政デジタル化を推進する中で、庁内のデジタル化を検討した際の課題について、デジタル推進局 デジタル戦略推進課 デジタル推進係の田島雅廣主任は、次のように話します。

「当県では、2022年3月に「岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画」を策定し、行政のデジタル化を進めてきました。その中での重要施策として、いまだに手書きの紙やExcelベースでの情報共有が残る業務では、「Webデータベース」を構築し、庁内データ連携基盤の方向で検討しました。」

しかし、構築にあたって重視したポイントがあったと言います。

「ひとつは、庁内DXの基盤とする以上、職員によって自律的に運用できること。そして、現場の業務や実情に合ったアプリケーション開発ができること。さらには、今回の開発成果が、今後の庁内DXに波及効果を持つことです。こうした観点から開発環境を検討した結果、職員自身が業務アプリを開発できる「ローコード開発ツール」に着目し、国産※OSSへの信頼感から、『プリザンター』を2022年初めに導入しました。」(田島氏)

ちょうどその時期に、同県 感染症対策推進課でもデータ連携に関して深刻な課題を抱えており、デジタル推進局に相談を持ちかけていたといいます。当時を振り返り、健康福祉部 感染症対策推進課 感染症対策第二係の山田涼子技師はこう語ります。

岐阜県 健康福祉部 感染症対策推進課 感染症対策第二係 技師 山田 涼子 様

導入と効果

常に変化する状況に対応するため、情報管理共有の効率化方法を模索していた

岐阜県
健康福祉部 感染症対策推進課 感染症対策第二係
技師 山田 涼子 様

「当時、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染者情報の共有や療養先の調整を保健所や県庁各担当との間で行う際、それらを手書きの紙とExcelをベースに行っていたのです。同じ情報を何度も転記するムダに加え、感染者が増えるとExcelでは全体像を把握しきれなくなりました。そこで、情報管理共有を効率的に行うアプリケーションの必要性を痛感し、デジタル推進局に相談し『プリザンター』を活用して共同で構築することにしたのです。」


500人を超える関係職員間の連携を効率化

「職員自らが現場で開発できたため、データ移行期間も含めてわずか1ヵ月で「新型コロナ管理台帳システム」を完成させることができました。500人を超える関係者間での情報共有が効率化し、11万件以上(2022年7月13日現在)の膨大なデータの中から必要な情報の照会・抽出が速やかにできるようになり、職員の負担は激減しました。なによりも、連係ミスに対する恐怖がなくなり、感染の波に対する備えができたのは大きな成果です。」(山田氏)


「今回の成果は、他の団体でもテーブル仕様などが参考になると思われますので、仕組みの公開を検討しています。また、短期間で現場が使いこなせるようになったのは、開発に関するノウハウだけではなく、ちょっとした困りごとの相談もできる、CTCシステムマネジメント社による伴走型サポートのおかげでした。DX推進に向けて強力な武器を手にしたと感じています。今後は、さらにツール活用が広がるよう、デジタル人材育成などの面でもサポートを期待しています。」(田島氏)


CTCSの伴走型サポートでツール活用し岐阜県DX推進加速へ貢献

岐阜県 清流の国推進部 デジタル推進局 副局長 阿部 修二 様

ローコード開発ツールの活用拡大をきっかけにデジタル人材育成へ

岐阜県
清流の国推進部 デジタル推進局
副局長 阿部 修二 様

最後に、今回のDX基盤の企画・推進を担った阿部修二副局長は、次のようにまとめました。



「岐阜県では、行政事務にローコード開発ツールを活かすポイントはツールを適用する『業務の型』にあると考え、2020年3月からオンライン申請型ローコード開発ツールの活用に取組み、2022年初めよりWebデータベース型ツールの活用に取組んでいます。Webデータベース型ツールの選定には、開発・運用面で実効性の高いサポートだけでなく、オンプレミスを選択できる柔軟なサービス提供形態、利用人数に依存しないライセンス体系、全ての機能が無償で使い始めることができることを重要視しました。


Webデータベース化する具体的な『業務の型』は、管理や照会のためにExcelを複数名でデータ管理している業務と言い換えられます。今回の新型コロナ管理台帳システムはデジタル推進局がシステム面、健康福祉部が業務面を対応し、それぞれの担当者が密に協力しあったことで高速リリースを継続することができました。今回の事案では、管理情報や運用が本庁と8保健所でバラバラになっている状況から要件をまとめ、かつデータ移行を約1ヵ月で実現した点、さらに、運用開始後も状況にあわせて高速リリースを続けている点など、業務に精通している職員がプリザンターで開発しているからできた偉業であり、関係職員500名超が改善効果を実感しています。


このようにWebデータベース化が可能な管理・照会業務は、行政デジタル化のオンライン利用状況照会など他にも沢山あります。さらに、業務を熟知している職員による内製化はスピーディな開発だけでなく、デジタル人材育成の基礎となるITリテラシーの向上につながっていることから行政デジタル化の望ましい形態の一つと考えます。このような経験を通して『簡単な仕組みは自ら内製化できる職員』『データ活用を適切にできる職員』『利用者目線で、課題解決や業務の効率化・改善を実現できる職員』といった岐阜県職員のデジタル人材育成を進めていきたいと考えています。


一方、内製化だけでなく、現場の多忙な職員などのことも考慮し、伴走型サポートによる作業フェーズに応じた支援や研修事業を検討していく予定です。」



ローコード開発ツール「プリザンター」の活用と内製化などによりデジタル人材育成を視野に入れた行政デジタル化を推進しようとしている岐阜県の取組みは、手堅いDXの事例として注目に値します。



※OSS:Open Source Softwareの略。ソースコードが公開されており、無償で自由に改変し、再配布が可能なソフトウェア


Pleasanter(プリザンター)導入支援サービス」では、プリザンターの導入からサポートまで手厚くご支援します。

テクニカルコンサルティングサービス」は、検討段階のご相談やお悩みに技術者が具体的なアドバイスやレクチャーでサポートを行う伴走型サービスです。お客様ご自身での活用に向けて、豊富なコンテンツをご用意しています。

(左)健康福祉部 感染症対策推進課 感染症対策第二係 技師 山田 涼子 様  (中央)清流の国推進部 デジタル推進局 副局長 阿部 修二 様(右)清流の国推進部 デジタル推進局 デジタル戦略推進課 デジタル推進係 主任 田島 雅廣 様

お客様プロフィール

岐阜県

岐阜県

岐阜県 マスコットキャラクター
「ミナモ」

県庁所在地:岐阜県岐阜市薮田南2-1-1
人口:194万7,595人(2022年6月1日現在)
世帯数:78万5,486世帯(2022年6月1日現在)
予算規模:1兆2,746億8,681万4,000円(2022年度当初)
面積:1万621㎢

日本のほぼ中央に位置する岐阜県は、7つの県に囲まれた数少ない内陸県で、北部の飛騨地域には標高3000mを超える山々が連なり、南部の美濃地域には「日本の名水百選」に選ばれる長良川中流域があり、自然を生かした産業が発展しています。

URL :https://www.pref.gifu.lg.jp/

※本記事は2022年7月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

※利用許諾番号:「清流の国®岐阜県 #0137」、「©岐阜県 清流の国ぎふ・ミナモ #1194」

※プリザンターは株式会社インプリムの商標または登録商標です。

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