「福岡を面白く」というビジョンを掲げ、オフィスビルや物流施設、レジデンス、商業施設、ホテルなどの開発・運営を行っている福岡地所。
福岡地所株式会社
DX推進部長
田村 圭志 氏
最近では天神ビッグバンプロジェクトの第一号案件である「天神ビジネスセンター」の開発を行うなど、福岡市を拠点に地域社会の発展と共に成長を続けている。
近年、同社のDX推進部が注力しているのが、不動産を活かしたデータプラットフォーム(グループ共通データ基盤)の構築だ。
これを軸に新しい価値を創造し、グループ全体の事業変革を推進していくのだという。
「この実現に向け欠かせないのがデータの整流化と統合です。
しかしオンプレミスとクラウドが混在しているままでは、データの扱いが非常に難しくなるため、クラウドシフトによって『あるべき姿』に近づけようとしています」と同社の田村 圭志氏は語る。
その一環として、会計システムからデータを抽出するため、AmazonWeb Services(以下AWS)上に複数のマイクロサービスで構成されたアプリケーションを構築した。
福岡地所株式会社
DX推進部
西久保 有佑氏
「ここで大きな課題になったのが、ジョブの流れが複数のクラウドやオンプレミスをまたいで実行されるため、どこで何が起きているのか分かりにくく、問題発生時の切り分けも困難だったこと。
そこで、複数プラットフォームに対応した監視ツールが必要だと考えました」と福岡地所の西久保 有佑氏は振り返る。
さらに、同社ではもう1つ大きな課題があった。それはクラウドシフトを本格化しても、ビルメンテナンスのシステムはどうしても現場にオンプレミスのまま残す必要があり、これらの監視も必要になっていたことだ。
「ビルメンテナンスのニーズは施設ごとに大きく異なり、様々なシステムを利用している他、現場スタッフが利用するPCや監視カメラなども設置されています。これらは人為的ミスで障害が発生することも少なくありません。
従来は問題発生時に電話連絡をもらって対応していましたが、復旧時間を短縮するには常時監視を行い、先手を打つことが求められていました」と西久保氏は話す。
こうした課題の解決に向け、まず同社では監視ツールの導入に向けた検討に着手。様々な検討を重ねる中で、最終的にたどり着いたのが「New Relic」だった。
福岡地所株式会社
DX推進部(協力パートナー)
島本 佳代子氏
一番の決め手は「複数のクラウドやオンプレミスのすべてをカバーできること」だという。
次に同社が実現したい監視をNew Relicを活用してどう実現できるのか、複数のITベンダーに声をかけて提案を依頼。パートナーとして選択したのがCTCシステムマネジメントだった。
その理由を島本佳代子氏は次のように説明する。
「New Relicを導入するのであれば、これを最大限に活用できる構成にしたいと考えていました。
しかしNew Relicを監視部分にだけ使い、他はAWS上に独自システムを構築するだけなら自分たちでも可能です。
これに対してCTCシステムマネジメントの提案はNew Relicを活用し、システムの最適化と運用業務の効率化を進めていくものだったのです」
CTCシステムマネジメント株式会社
広域・金融本部
西日本運用サービス第2部
第2課 課長
宮崎 大樹
これに加えてクラウドだけではなく、ネットワーク機器などのオンプレミスのインフラに強いエンジニアがいたことも、大きなポイントとなったという。
「提案をご依頼された際に『NewRelic』を使ったオブザーバビリティ(可観測性)を実現したいと聞いていたため、その専門家である杉浦をアサインしました。
当社ではローテーションによって複数分野に詳しいエンジニアを育てていることもあり、クラウドのみならずコンピュータやネットワーク機器にも精通しています」とCTCシステムマネジメントの宮崎 大樹氏は語る。
CTCシステムマネジメント株式会社
ハイブリッド運用サービス本部
ハイブリッド運用サービス部
エキスパート
杉浦 秀祐
同じく技術支援を担当した杉浦秀祐氏も「広範なシステムに対応できることが大きな強みです。今回は私がフロントに立っていますが、私の後ろには数多くのエキスパートがおり、ワンチームとして私を支えてくれています」と述べる。
CTCシステムマネジメントの技術支援のもと、構築されたものは大きく2つある。1つはカスタムダッシュボード、もう1つはアラートシステムだ。
「会計システムからのデータ抽出は8ステップで構成されているのですが、ダッシュボードではどのステップで何が起きているのかを、分かりやすい形で表示しています」と島本氏は語る。
また各ステップでどのような処理を実行しているのかもダッシュボードに記載することで、データ抽出アプリケーションを作った人でなくでも、処理内容を簡単に理解できるようにしている(画面参照)。これによって属人化された運用を回避できるようになったという。
図 カスタムダッシュボードのイメージ
福岡地所株式会社 DX推進部
(協力パートナー)
梅津 典史氏
一方、アラートシステムは、対応する必要がないアラートを発生させないように工夫されている。
単に特定の事象が発生した際にアラートを出すのではなく、一連の処理全体をチェックした上で、対応が必要なものだけについてアラートを飛ばすようにしているのだ。
「このような仕組みが本当に実現できるのか当初は手探り状態でしたが、CTCシステムマネジメントは私たちと一緒に取り組みながら、要望を短期間で具現化してくれました」と福岡地所の梅津典史氏は評価する。
今後、同社では今回構築した監視の仕組みを、他のシステムにも横展開していく計画だ。
「会計システムからのデータ抽出は最も複雑な処理の1つなので、これを可視化できるのであれば他のシステムの可視化も実現できるはずです」と梅津氏は期待を寄せる。
他にも人事システムや売上管理システム、物流管理システムなどからのデータ抽出も行っているため、これらへの適用も進めていく計画だ。「その最初の形ができたことは非常に重要です。今後も引き続き新たな価値創造に向けたDXを推進していきます」と田村氏は今後を見据えている。

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福岡地所株式会社
所在地:福岡県福岡市博多区住吉一丁目2番25号
キャナルシティ・ビジネスセンタービル10F
設立 :1961年7月19日
URL :https://fukuokajisho.com/
※本記事は2025年3月に取材した内容を基に構成しています。
記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。