IT業務効率化
ワークフローコラム第4回目の今回は、ワークフローシステムと基幹システムの連携に関して、事例を中心にご紹介します。
1. 「共通承認基盤」としてのワークフローシステム
2. 会計システムとの連携で業務負担軽減に成功!
ワークフローシステムは、様々な書類の承認を受ける役割を担っています。社内の書類回付ルートは非常に複雑になっているケースが多く、これに対応できる製品として、ワークフローパッケージ*を選択するお客様が増えてきました。
* ワークフローパッケージ
ワークフローを専用に処理するソフトウェアパッケージで、日本では80社以上が製品を販売している。自前でシステムを構築するよりも価格、納期の点でメリットが大きい。また、せっかくワークフローパッケージを導入したのだから、お客様社内のあらゆる承認業務に共通で利用できるシステムにしたいというニーズも高まっており、最近ではワークフローシステムを「共通承認基盤」という位置づけで利用するケースも見られるようになりました。
こうした流れにともない、「共通承認基盤」としてのワークフローシステムを、他の基幹システムと連携させたいというご要望をいただく機会が増加しています。
そこで今回は、会計関連の申請書をシステム間連携させて、承認の流れを明確化・簡潔化したお客様の事例をご紹介しましょう。
このお客様では、日ごろ伝票の入力をする現場のエンドユーザーのリテラシーに合わせて、一から新規で開発する「スクラッチ開発」を行うこととなりました。ワークフローシステムで申請書の承認を行い、自動申請や自動承認などの機能を追加開発することによって、現場の業務負担軽減を目指しました。
こうした目的で開発したワークフローシステムを活用した情報(申請書の処理)の流れは、下記の通りです。
1.既存の伝票登録システムでデータを入力する
2.自動的に伝票がワークフローシステムに送られ、承認者が承認作業を行う
3.承認された伝票は自動的に伝票登録システムに戻り、情報に矛盾がないか等を確認する
4.確認が済んだデータを伝票登録システムが会計システム(基幹システム)に送り、会計処理をする
ワークフローシステムで承認完了した申請書は伝票登録システムに戻った後、ステータス確認やレイアウト変換などを行った上で、会計システム(基幹システム)にデータを渡すという仕組みです。詳しい業務フローは、図でご紹介しましょう。
図中の番号に沿って、手順の詳細を説明します。
1.申請者が、伝票登録システムにデータを入力し、伝票を申請する
2.伝票登録システムからワークフローシステムに申請依頼データが送られる
3.ワークフローシステムで申請依頼データが承認されれば、承認完了情報をワークフローシステムから伝票登録システムに送る
4.承認者が、ワークフローシステムで承認をする
5.承認が完了したら、ワークフローシステムが承認完了情報を伝票登録システムに送る
6.伝票登録システムで承認完了の伝票更新をする
7.ここまでで一連の伝票承認処理が完了し、会計システム(基幹システム)に仕訳情報などを送る
このワークフローシステム開発およびシステム間連携によって、複雑だった承認の流れが整理されて業務の遅延がなくなると共に、現場の業務負担が大幅に削減されるといった効果をあげました。ワークフローシステムだけでなく、システム間連携においては一般的に言えることかもしれませんが、ワークフローシステムと基幹システムの連携をスムーズに行うために必要なポイントは、以下の3点だと考えます。
要件定義の段階で各システムの役割分担を決める場合が多いですが、連携先のシステムも開発途中といったケースでは、なかなか細部にわたる役割を明確化するのは困難です。しかし、ここでの取り決めが後の工程に響いてきますので、社内全体を客観的に見て判断を下せる立場のオーナーを巻き込み、役割をできるだけ細かく明確化しておくことが重要です。
操作画面レイアウトの決定は、比較的簡単にできます。しかしながら、データ送受信のタイミングやイレギュラーデータの扱い、通信エラーとなった時の対応などは実際にテストして初めて明確化しなければならないと判明するケースがあります。当社では、忘れがちな決定事項について漏れがないようチェックリストを作成した上で明確化作業を進めます。
お客様業務の内容に合わせて最適な連携方式を選択しなければ、期待される効果をあげることはできません。ファイル連携方式、HTTP連携方式、SOAP連携方式などいくつかある方式のうち、どれを選択するかは業務のリアルタイム性と開発コストに応じて検討する必要があります。
こうしたポイントを押さえながらワークフローシステム導入を成功に導くことは、お客様だけでは難しいかもしれません。当社では、過去のワークフローシステム開発・導入で培ったノウハウを活用し、お客様の業務や現場の状況に合った、より良いシステムのご提案をさせていただきます。
次回は、ワークフローシステムと文書管理システムの連携事例や、ユーザー管理の連携事例などをご紹介します。
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